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木曜

家出の理由

わりきり
ワリキリしていた女の子を拾った。スズカちゃんは色気も何もない女の子だったが、変におしゃれをしていないところなぞ、商売目的ではない本当の家出少女だと思わせた。
いかにも空腹そうだったので、まずは僕はスズカちゃんを連れて、行きつけのファミレスへと入った。
やがて、運ばれてきたチーズインハンバーグセットをスズカちゃんは貪るように食べていた。
家出の理由を聞くと、満足にごはんを食べさせてもらえないかららしい。貧乏なこともあるが、それ以上に両親が子供に無関心なんだそうだ。
昼も学校で友達のお弁当を分けてもらっているというから、涙なしには聞けない話である。家出の理由としても同情する。
そして、あまりの空腹に耐えかねたスズカちゃんは、友人のスマホをちょっと借りて、割り切り掲示板を通じて僕のところにやって来たというわけだ。
「ライスおかわりしていい?」と聞くので、その話を哀れんだ僕は、好きなだけ食べるように告げた。
一通り食べたスズカちゃんは、血の気の戻った顔で満足そうにお腹をさすった。
その時には、もう僕はこの子とセックスする気は全くなくなっており、お腹を空かした子供に食事を提供する子ども食堂のおっさんのような気持ちになっていた。
僕はスズカちゃんを家に案内して隣の部屋を提供した。彼女には、朝ご飯を作ってあげて、幾許かのお小遣いを渡して返すつもりだった。
僕が、キッチンで夕刊を読んでいると、すうーっとスズカちゃんが扉を開けて、僕の背中に声をかけてきた。
「あのぅ、何か私にできることはありませんか?」
もちろん、割り切り掲示板が何を対価にして成り立っているのかスズカちゃんもわかっていたのだろう。
しかし、僕は遂にスズカちゃんには手が出なかった。我ながら偽善だなあ、と思う。
お礼に何かさせてほしいというスズカちゃんに、だったら早起きして朝ご飯を作ってほしいとリクエストした。偽善である。本当はマタ開いてチンコ入れさせろ、と言いたいのに。
翌日、スズカちゃんが作ってくれた心のこもった朝ご飯を頂いて僕たちは別れた。お腹が空いたら、またおいでと声をかけて。性欲は満たせなかったが、笑顔で手を振って別れを惜しんでくれるスズカちゃんの姿に、僕は心が満たされた気がした。
それからしばらくして、意外なところでスズカちゃんと再会した。以前、二人で食事をしたファミレスにアルバイトとしてウェイトレスを務める彼女の姿があったのだ。
「あの時のチーズインハンバーグセットの美味しさが忘れられなくて。賄いも尽きますしね」
そう言って、僕に運んできてくれたチーズインハンバーグセットは、いつもよりライスがちょっと多めだった。
JCと割り切り
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